Q:廃業して会社をたたんだほうがいいような気がしていますが、いつまでも考えがまとまらず決断にいたりません。どうすれば決断できるのでしょうか?
A:たしかに、廃業するか否かは重大な判断となるため簡単に決断はできません。
それこそ「何年も悩み続けたのに結論が出なかった」という方も過去にはいました。
私のところには「会社をたたむべきか否か」という、まだ方向性すら決まっていない段階での相談がたくさんきましたが、ほとんどの方は比較的短時間で自分なりの決断をしました。
中には多少時間がかかった方もいらっしゃいましたが、すべての方が自分の方向性を見つけることができたはずです。
みなさんが決断できたベースには、手前みそですが、私の思考整理のお手伝いがあったためでしょう。
希望を引き出したり、恐れていることや心配ごとに目を向けたり、混乱している頭の中の整理したり・・・です。
廃業の決断に、正しい答えがあるわけではありません。
決めるのは社長さんですから、決められるように、その土台となる考え方や感覚を整理する必要があるのです。
専門家の中には、いつでも「こうすべき」と答えを提示しようとする人がたくさんいます。
「あなたは会社を廃業させるべき」とか「廃業なんて絶対だめだ」と、自分の意見を押し付けてくるかもしれません。
しかし、所詮は他人の意見。
そんなもので決断できるほど簡単な話ではないのです。
思考整理を試みるときは、問いをなげかけることで社長の頭や心の中に働きかけます。
たとえば廃業の可否であれば、たとえば、このような問いをする可能性が高いでしょう。
・「このまま廃業しなかったら会社はどうなるか?」
成り行きに任せた場合の未来をイメージし、それは望む未来なのか考えてみてください。
・「廃業した場合、どんな恐れがあるか?」
恐れていることは心配ごとが引っ掛かって、決断できないことがあります。
まずは、その正体が何かを把握しなければなりません。
・「自分の個人としての本音では、どうしたいと思っているのか?」
多くの方は、社長という仮面をかぶって生きています。
社長としての建前に縛られているのです。
そんな仮面を外して、一人の人間としてどうなのかを探ってみましょう。
結局人は、自分の価値観に従うしかないし、そのときこそ力を発揮できるものではないでしょうか。
こういう思考整理は、誰かとの対話を通じたほうが効果的です。
しかし、ふさわしい相手が見つからないケースも多いもの。
上記の質問をきっかけに自分自身と向き合っていただければと思います。
なお、そもそも廃業の決断なんて簡単にできるはずがありません。
これほど重要な決断は、人生で何度あるでしょうか。
悩むことは悪いことではないし、むしろ、必要なことです。
決断をできない自分をダメとは思わないでください。
あまり深刻にならず、気を楽にもちつつ、じっくり自分の心の声を聞いてあげてください。